映画『天のしずく 辰巳芳子 “いのちのスープ”』9/23(月・祝)まで

料理家で作家の辰巳芳子先生と絵本『まほうのおまめ だいずのたび』(文藝春秋)を2020年4月に出版したご縁で、9/16(月・祝)に、東京都写真美術館で『天のしずく 辰巳芳子 “いのちのスープ”』の上映後、河邑厚徳監督やNHKのプロデューサー矢内真由美さん、文藝春秋の担当編集お二方と一緒にトークさせていただきました。
映画館全体が、映画の中の辰巳先生を囲む会のような雰囲気になっていて、参加させて頂けて、とても嬉しかったです。
※東京都写真美術館では、河邑監督が撮った『天のしずく』含めた3作品が9/10〜9/23(月・祝)まで上映中です。
この映画を観たのは、2度目ですが、年月を重ねて改めて観ると、辰巳先生の生き方、全ての物事への向き合い方に、猛烈に心打たれるものがありました。
辰巳先生のような方には、きっともう出会えないんだろうなと映画を観ながら感じ入っていました。

台本の台詞で読ませても出てこないような言葉や間合い、仕草が映画の中には散りばめられていて、ただスープを丁寧に混ぜる姿だけでも涙がじわじわ湧いてきました。
手間隙かけてスープを作る必然が、その人の人生の背景にあって、その物語が見えてくると、またとめどなく涙が溢れて……
辰巳先生の手仕事、辰巳先生のスープをまた自分の大切な人のために作る人々の手仕事は、まるで尊い祈りのようでした。

私がお会いした先生は、教養深く、厳しく、それでいて、子どものようにまっすぐ正直な方でした。
「(絵本を)出すからには全身全霊で作らなければだめだ!」という辰巳先生らしいお言葉が、編集者のメモに残っており、あの鎌倉の邸宅へ、編集者と共に叱られに行ったものだな…と、懐かしい記憶が蘇ってきました。
鳥が鳴き、花が咲き乱れる物語のような異世界で、叱られっぱなしの私たちに、静かに河邑監督がカメラをむけていたのも今は良き思い出です。

厳しく愛情深い辰巳芳子先生と、3年越しで制作した絵本が『まほうのおまめ だいずのたび』です。
大切な絵本になりました。

映画も絵本も、ぜひたくさんの方に届きますように。

映画上映中は、東京都写真美術館のミュージアムショップでも『まほうのおまめ だいずのたび』がお買い求めいただけます。

辰巳先生は、低い食料自給率や食料の安全への危機感をつのらせており、そんな思いから、「大豆100粒運動」を立ち上げられました。大豆を自分たちで育てる取り組みです。
今では、全国で400以上もの小学校が参加しています。

「生命は、もろいものです。
とりわけ、幼い命はたいへん傷つきやすいものです。
この命を大切に致したく、
手はじめに、この国の大豆を再興することから手をつけました。」

(辰巳芳子 大豆100粒運動の意思からの抜粋) 

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